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瀬戸内のテンヤタチウオ事情【ポイント編】

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皆様はじめまして、大西勝です。岡山県在住で主に瀬戸内で釣りを楽しんでいます。テンヤタチウオは始めて10年余りになります。

さて、今回から数回にわたり、瀬戸内のテンヤタチウオの特徴について少しお話ししていきたいと思います。

まず今回は「ポイント編」です。

さあ、瀬戸内のテンヤタチウオ釣りに出航!

広大なフィールド

瀬戸内のタチウオポイント(以降ポイントと略します)のフィールドは、東の徳島県鳴門沖から西の山口県周防大島沖までの間、距離にすると約230kmと広大です。この中に数多くのポイントがありますが、主なポイントを赤丸で示しました。

フィールドは大きく東部、中央部、西部の3つのエリアに分けられます。それぞれ水深や潮流に違いがあり、様々なシチュエーションのポイントがあるのが瀬戸内の特徴です。

ポイントまでの所要時間は、仮に、ほぼ中央に位置する福山から遊漁船に乗ったとすると、東西の端である鳴門沖・周防大島沖までの所要時間はともに2時間半ほどです。ポイントまでの距離感は、1時間までが近場、1~2時間が普通、2時間以上が遠征といったところです。

最近では、洲本沖や豊後水道にも行くようになったので、私も含めて距離感が麻痺している釣り人が増えてきています。

回遊ルートと釣期

瀬戸内でのタチウオの回遊ルートは、東西からの2パターンがあります。

年により若干の違いはありますが、東ルートは8月上旬に鳴門沖から回遊が始まり、西に向かって進み、秋に燧灘(ひうちなだ)に到達します。

西ルートは8月上旬に山口県の周防大島沖から始まり、東に向かって進み、秋に岡山県の笠岡沖や下津井沖まで到達します。そして、冬が近づき海水温が低下するとともに、多くのタチウオが深場の安芸灘に移動します。

釣期は、8月上旬頃に東部の鳴門沖でスタートし、11~12月に中央部と西部でハイシーズンを迎え、翌年の1月中旬頃に安芸灘で終了します。

各エリアの特徴

■東部

東部エリアは、鳴門沖と小豆島沖が主なポイントで、ともに水深70m程度の深場です。鳴門海峡のすぐそばがポイントなので、神戸沖とよく似た海況です。例年8月中旬頃から遊漁船が鳴門沖に行き始めます。

このエリアの特徴は、同時期の大阪湾と同じく、F2~2.5の小タチが多く、アタリが小さく掛かりも悪いので、なかなか苦労します。数も50尾以上釣れるのが普通なので、シーズン最初のウォーミングアップになります。

9月に入ると小豆島沖で釣れるようになります。タチウオの掛かりもよくなり、タナも40~50mと浅い場合が多いので、大きな群れに当たると100尾以上釣れることもあります。

■中央部

中央部エリアでは、本州側の備後灘と四国側の燧灘に数多くのポイントがあります。釣期は10月初旬頃から始まり、水温が低下してくる12月初旬頃までです。

特徴の一つは、水深10~50mの浅場のポイントが多いことに加え、潮が比較的緩いために、素直な潮で2枚潮になりにくいことです。

そのため、ラインは真っすぐ立ち、ラインに潮の抵抗がほとんどかかりません。「瀬戸内スタイル」といわれる軽い仕掛け(PE1号+テンヤ30号)を用いた7:3調子によるシャクリ&ストップの誘いは、このエリアで生まれました。

もう一つの特徴は、タチウオが2、3日でポイントからいなくなることです。1週間続くことはまずありません。

理由としては、移動するベイトを追いかけてタチウオが移動することや、「そのポイントで釣れている」という情報が入ると釣り船や漁船が集結してきて釣り切ってしまうからです。「昨日まではよかったのに」という話はよく聞きます。

そのため、よく釣らせる遊漁船の船長さんは、幅広い情報網を持ち、船に馬力の大きなエンジンを積んでスピードが出るようにしています。僚船からよい情報が入ったときに、少しでも速くポイントに駆け付けることができるようにしているようです。

■西部

西部エリアは、安芸灘と伊予灘の北部を合わせて「松山沖」と呼ばれています。ポイントは50m以深で100mを超えるところもあります。深さがあるため2枚潮になるときもありますが、大阪湾ほど酷くはならず、潮の緩い洲本沖といった感じでしょうか。

例年であれば、12月下旬頃より、燧灘・備後灘からのタチウオが入ってきます。中型~大型の群れが集結して大釣りできることがあります。今から5年前の1月のことですが、F4~5のタチウオの入れ食いになり、50ℓのクーラーが氷なしで満タンになったことがありました。

このように大釣りの可能性があるエリアなのですが、この2年は壊滅状態と言われるほどに釣れませんでした。

その理由については、「豊後水道にあるタチウオの産卵場において、巻き網漁船団がタチウオを根こそぎ捕ってしまったので、西からの回遊ルートでやってくるタチウオがいなくなった」と言われています。

その原因には遊漁船も若干は関与しているでしょう。釣りをする者としても考えさせられる出来事です。

先日、3年ぶりに松山沖のポイントを訪れる機会がありました。ポイントには釣り船が多数集まっていて、釣果も58尾と十分でした。今シーズン、西ルートからの回遊は期待できるかもしれません。

小さな海釜がポイント

大阪湾では由良瀬戸や明石海峡などの大規模な海峡中央型の海釜(かいふ:潮流により海底が侵食されたり、砂泥の堆積が妨げられたりして形成された窪地)周りがタチウオポイントなっていますが、瀬戸内でも、同じく海釜周りがポイントになっている所が多いです。ただ、規模は大阪湾に比べると圧倒的に小さいです。特に中央部の燧灘・備後灘は他のエリアに比べても小さい傾向があります。

ここは岬の沖にある海釜がポイントになっている所です。およそ500m×1,000mの海釜ですが、ここでの当たりダナは50m前後のことが多く、なおかつ船を潮流に乗せて流すため、実際のポイントの範囲はかなり狭くなります。

そのため、多くの船が集まると、上写真のように大混雑し、大阪湾ではありえないほどに船が接近します。先日の釣行では、なんと隣の船の方とオマツリをしてしまいました。

私が思う瀬戸内の魅力

私は2017年から大阪湾タチウオキングバトルに参加させていただくようになり、瀬戸内だけではなく大阪湾にも釣行するようになりました。大阪湾での釣行も60回を超えると、さすがに鈍感な私でも両者の違いが自分なりにわかってきました。

では、瀬戸内の魅力とは…?

先にも述べましたが、「様々なシチュエーションがある」ことだと私は思います。深場あり浅場あり、数釣り場あり大物釣り場あり、潮の速い所あり穏やかな所あり、ポイントの狭い所あり広い所ありなど…

瀬戸内の釣り人にはそれぞれに好きなポイントがあるようです。ちなみに私が好きなのは、水深10mくらいの超浅場です。

誘い幅2mくらいの中でいかにスイッチを入れて掛けるか。これがけっこう燃えます。

テンヤの下からアタックしてくるタチウオをリアルに見たことも何度もあります。また、船によっては、堤防からの引き釣り用のテンヤやワインドでのキャステイングの釣りもできます。面白いですよ!

まあ、瀬戸内では、こんな風にテンヤタチウオ愛好家は楽しんでいる次第でございます(笑)

次回は【エサ編】を予定しています。おたのしみに!