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タチウオの型は釣り分けられるのか? ドラゴンをいかにして釣る?(高活性期)

神戸沖、水深80㍍。テンヤが着底した。糸フケを取りつつ底を2㍍ほど切るつもりで、素早くグルグルグルとリールを巻く。あれ!? 食い上げた。

急いで巻き合わせすると、グウッと重みが乗る。竿先が上がった状態なので、そのままギュンと電動リールの高速巻き上げでアワセ。テンヤの針をしっかりとタチウオに差し込むイメージ。グググゥーとロッドを胴元からしならせる、強烈な引き。

秋に入ってからしばらくの間は低活性な状況が続いた今シーズンの大阪湾のタチウオだが、取材の数日前から明石沖で爆釣もあったと聞いて来た。

当日は明石ではなく、神戸・須磨沖だったが、幸運にも、久々の超高活性な『Xデイ』。フォール時に底スレスレでタチウオがテンヤをダイレクトキャッチしたり、着底して2、3㍍でいきなりグン!と竿先が入ったりと、序盤からいきなりの入れアタリ。今井さんとは前世に何かあったのだろうか?と思うぐらい、毎度の取材運のよさ(笑)。

さて、そんな食い気バツグンのタチウオに挑む今井さんのメインロッドは、本人が「調子的にはシリーズ中、最も自分にピッタリくる」と言うベイゲームXタチウオの82MH195。タチウオの小さなアタリを視認しやすい8対2の先調子でありつつ、穂先は軟らかく設定されていて、電動巻き上げでオートマチックに「乗せる」釣りをメインにする人には特にオススメのタイプ。

大阪湾のタチウオ釣り、ここ数年で釣り方のバリエーションも増え、ただ巻き、ストップ&ゴー、その他諸々…釣り方は人によりさまざまだが、当日のように「釣れる時」は、とにかく自分が一番使い慣れたロッドで、一番得意なスタイルを状況に合わせて釣るのがベストと言える。

活性がよさそうなので、自分はかなり速い速度の巻き+3秒ぐらいの止めというストップ&ゴーの誘いで3連発。しかも、今日は型もいい!! 対して、比較的ソフトな釣りスタイルを好む今井さんは、フォースマスター400の電動を使い、いつもより速めの電動巻き上げで連発モードに。

朝イチからガンガンヒットしてくるスピードは、カウンターで「8」と、かなり速く、スローよりも速巻きのほうがヒット率は圧倒的に高い。

周りを見てもさまざまな速度の誘いにアタリが出ているが、「どのぐらいの速度まで追ってくるんだろ?」とアタリが続く限りの速い巻きで上へ上へ誘い上げてみる。で、「ピタッ」と止めた瞬間、ギュン!と穂先が勢いよく入るか、勢い余ったタチウオが、テンヤを食い上げてフワッ。「これぞタチウオ釣りの醍醐味!」とでもいいたくなるような。

ただの偶然と言ってしまえばそれまでかもしれないが、この時、速いスピードで追わせてヒットしたタチウオ、周りと比べると、あきらかにひと周り…どころか、2周り大きい。

この時「あ、やっぱり!」と思ったのだ。

少し前にも、つりそく本紙の記事で触れたことがあるのだが、これって「型の釣り分け」のお話。

大きいタチウオほど「泳ぐ速度が速い」、「長い距離を追い続けて来れる」ということが、「大きいサイズを連発した理由」…ってのが持論。もちろんこれは活性が低い時、水温が低かったり、潮が濁っていたりして、タチウオが積極的にテンヤを追いかけてこない時には全く当てはまらないだろう。

だが、当日のようにアタリが多く(タチウオの数も多く)、しかも一度アタックしてきたテンヤへの執着心が強い場合(違うタチウオが次々にアタックしているとも考えられる)には、「速く巻いて、より長距離を負わせることで、小さなタチウオをかわしていく」ことが「大きいタチウオを選んで釣る」ための有効な術となるのでは…と強く思うワケである。

ともあれ、当日は終始アタリの多い状況で、ほとんどの人が20尾以上の釣果という大満足の結果。もしもそんな活性のよい日にうまく当たった時には、一度この「型の釣り分け」のお話を思い出して、試してみても面白いんじゃないだろうか?

可児 宗元 投稿者の記事一覧

フィッシングライター。数年前に大阪湾のテンヤタチウオの魅力にハマり、2013年に大阪湾タチウオKINGバトルを発足。以来テンヤタチウオ関連の執筆、普及に勤しむ。タチウオマニア編集長。『釣場速報』元副編集長。朝日カルチャーセンター非常勤講師。月刊『つり人』、サンケイスポーツなどに執筆中。

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