瀬戸内のテンヤタチウオ事情【ポイント編】
そのため、ラインは真っすぐ立ち、ラインに潮の抵抗がほとんどかかりません。「瀬戸内スタイル」といわれる軽い仕掛け(PE1号+テンヤ30号)を用いた7:3調子によるシャクリ&ストップの誘いは、このエリアで生まれました。
もう一つの特徴は、タチウオが2、3日でポイントからいなくなることです。1週間続くことはまずありません。
理由としては、移動するベイトを追いかけてタチウオが移動することや、「そのポイントで釣れている」という情報が入ると釣り船や漁船が集結してきて釣り切ってしまうからです。「昨日まではよかったのに」という話はよく聞きます。
そのため、よく釣らせる遊漁船の船長さんは、幅広い情報網を持ち、船に馬力の大きなエンジンを積んでスピードが出るようにしています。僚船からよい情報が入ったときに、少しでも速くポイントに駆け付けることができるようにしているようです。
■西部
西部エリアは、安芸灘と伊予灘の北部を合わせて「松山沖」と呼ばれています。ポイントは50m以深で100mを超えるところもあります。深さがあるため2枚潮になるときもありますが、大阪湾ほど酷くはならず、潮の緩い洲本沖といった感じでしょうか。
例年であれば、12月下旬頃より、燧灘・備後灘からのタチウオが入ってきます。中型~大型の群れが集結して大釣りできることがあります。今から5年前の1月のことですが、F4~5のタチウオの入れ食いになり、50ℓのクーラーが氷なしで満タンになったことがありました。
このように大釣りの可能性があるエリアなのですが、この2年は壊滅状態と言われるほどに釣れませんでした。
その理由については、「豊後水道にあるタチウオの産卵場において、巻き網漁船団がタチウオを根こそぎ捕ってしまったので、西からの回遊ルートでやってくるタチウオがいなくなった」と言われています。
その原因には遊漁船も若干は関与しているでしょう。釣りをする者としても考えさせられる出来事です。
先日、3年ぶりに松山沖のポイントを訪れる機会がありました。ポイントには釣り船が多数集まっていて、釣果も58尾と十分でした。今シーズン、西ルートからの回遊は期待できるかもしれません。